不安を煽るより、助けること.

ひとり情シスには、いろいろな方がいます。とても優秀な技術力とコミュニケーション能力を持ち、経営参謀に近いポジションで活躍している方もいらっしゃれば、仕事やエンドユーザーの要求に追いまくられている方もいます。また、着任3年未満の「ひとり情シス」方々が約半数を占めますので、不安をかかえて孤軍奮闘している方も多いことと思います。

しかし、過度に悲惨な状況のみを強調して煽ることは、行き過ぎたマーケティングであるのではないかと考えます。FUDではないか?と思うこともあります。

FUDとは?

"FUD"は、「ファド」と発音されますが、Wikipediaによると「FUD(英: Fear, Uncertainty and Doubt、直訳すると「恐怖、不安、疑念」)は、販売、マーケティング、パブリック・リレーションズ、政治、プロパガンダで使われる修辞および誤謬の戦術の一種。FUDとは一般に、大衆が信じていることに反するような情報を広めることで、大衆の認識に影響を与えようとする戦略的試みである。例えば、個々の企業が競合他社の製品について悪い印象と憶測を与えるためにFUDを利用する。すなわち、他社製品に乗り換えるにはコストが掛かりすぎると思わせたり、潜在的ライバルでもあるビジネスパートナーに対して影響力を保持しようとしたりする場合である。FUDの技法は粗野で単純な場合もあるし、間接的な手法を使った巧妙なものである場合もある」とあります。あまり好ましいマーケティング手法ではありません。

FUDを「ひとり情シス」の状況に置き換えると

このFUDを「ひとり情シス」の状況に置き換えてみますと、Fear(恐怖)「ひとりでは、とても大変なトラブルに見舞われていますよ!」 Uncertainty(不安)「ひとりの方には、予測できないことが起きるので今から準備する必要ありますよ!」 Doubt(疑念)「ひとりなんかでは、本当に効果的なことできませんよ!」などになります。ビジネス目的を達成する為に、不安だけを喧伝するだけではなく、建設的に前向きに「ひとり情シス」を支援していくことが重要だと考えていま

IT化を推進する為に、やっとのことでIT担当者を配置した企業には、いきなり支出できる予算も持っていないことがほとんどです。「ひとり情シスは大変だからアウトソーシングしましょう」などのサービスを購入することは叶わず、まず自分自身で解決していく必要があります。黒田さんの学会で発表したレポートにも記されていますが、ひとり情シスになった瞬間は、常にこのような状態であったそうです。

ひとり情シスと対話も無く憶測のまま、ひとり情シス向けのマーケティングを展開されている事例も多く見受けます。真のひとり情シスのペインポイントを理解する為にも、黒田さんが発表された学会論文、著書などを一読するとリアルな実態が理解できると考えています。

困っている「ひとり情シス」を支援していきたいのが、ひとり情シス協会の大きなテーマです。