評価レポートとは?

評価レポートとは、一般社団法人ひとり情シス協会の技術顧問や技術委員、現役のひとり情シスがひとり情シス向けのITソリューションを評価したものです。ひとり情シス向けに安心な製品・ソリューションを提供したいITベンダー様より依頼受けて作成します。ひとり情シスとしてチェックするポイントや導入に適している企業、ひとり情シスのタイプを推奨します。想定企業は300名以下の中堅中小企業です。ひとり情シスの方が、自社の環境に見合った製品・ソリューションを選択し易くするものです。

何故、評価レポートを作成するのか?

新型コロナウイルス感染症以降、働き方改革や人手不足を背景にし、急速なデジタル化が多くの中堅中小企業で急速に進みました。この背景には、多くのひとり情シスや少人数がシステムを支えることに奮闘しているからこそ実現していることです。その中には、突然、ひとり情シスを任命され、戸惑うIT経験の少ない方も多いです。日頃のIT運用に苦労しながら、自社に最適な製品やソリューションを選択することも重要な業務になります。「何か良いソリューションありますか?」との話題もしばしばひとり情シス同志の会話に出てきますが、なかなかその会社に適合する製品やソリューションを推奨することは難しいです。

例えば、IT関連の書籍を購入しても「難し過ぎてわからない」ことや「簡単で知っていることばかり」など、自身のニーズやスキル、経験などによって最適な読書体験は変わります。例えば、スポーツ用品などでも初級者と上級者が求めるスペックやパフォーマンスは変わります。上級者志向であれば難しい道具に挑戦したい方もいれば、スキルを高める必要もないので入門者用で使い易いものがいいという方もいます。予算が潤沢な方は何種類も試すなど余裕のある選択ができたりします。

ひとり情シスが辞めてしまった会社と打ち合わせると、使われていない製品やソリューションの残骸や契約履歴があったりします。これは何が問題でこうなったのでしょうか?その製品が明らかに問題があったのでしょうか?しかし、一般的に、市場に流通している製品・ソリューションは、問題があることや品質が低いことはそれほど多くありません。多くの問題が自社の目的や環境に合致しないことが多く、使用の難易度や適合度を考慮していなかったりすると「動かないコンピュータ」になってしまいます。

評価レポートは、対象製品・ソリューション導入の背景、製品・ソリューションの特徴、ひとり情シスがこだわるポイント、経営層へ上申のポイントで構成されています。

「ひとり情シス」環境評価パラメータ

ひとり情シス協会として、ひとり情シスを取り巻く以下のパラメータを考慮して製品・ソリューションを評価致します。

IT化の業務量
企業により大小あります。既に社内でIT化すべきことで顕在化しているもの、潜在化しているがIT化すれば業務効率化や業績向上が実現することなどあります。また、取引先数や製品種別量などでの業務量によりIT化の適用範囲は異なります。

情シス担のITスキル・経験
中小企業の情シス担当者やひとり情シスには、ITスキルや経験のバラつきがあります。しかし、IT経験がなくても、管理職経験が長い人やリーダーシップを持つ人などは、情シスの仕事に幅を広げることができます。

経営層のIT活用意思
経営層が経営方針にITを戦略活用することが含まれているのか?経営層自身が、ITへの意識が高く、活用経験の有無などにより社内IT化の進捗を大きく左右します。

企業規模
20名と200名の企業では、製品やソリューションを選択する基準が異なります。しかし、サイバーセキュリティ対策など従業員規模に関係ないこともあります。

IT予算確保
中小企業では年度予算としてIT支出を計画されていない企業が多いです。都度決済するタイプです。その為、サブスクリプション型やレンタルなどの支出に対応しにくい現実が顕著になっています。

IT投資額
IT投資の規模により選択する基準が大きく異なります。中小企業でも豊富なIT予算を持つ企業、なるべく支出を避けたい企業などが存在する。中古のノートPCやオープンソースを活用することでコストを低減することも出来ます。但し、使いこなす場合には、IT担当者のスキルが必要なことも多いです。

ユーザー層のITリテラシー
企業の従業員構成により多様性があります。技術系の社員が多い、外国人が多い、若い人が多い、高齢者が多いなど、ITリテラシーは異なります。ITリテラシーとは、ITに関する理解する力、情報技術を操作して活用する能力です。また、社風にも影響します。助け合う風土か、個人の責任を追及する厳しい職場などにもより社内の展開は注意が必要です。

パートナーの支援
飽くまで自社の社員でだけで進めるのか、外部のITパートナーの支援を受けて構築・運用をしていきたい企業により異なります。ひとり情シスや中小企業の少人数の情シスは、パートナー選びが極めて重要です。

「ひとり情シス」分類チャート

「ひとり情シス」と言っても様々なタイプが存在します。守備範囲も異なります。ITに関することの全てに精通し、自身で何でもできる「スーパーひとり情シス」の方もいますが、極めて少数派です。また、小規模企業に多いのが経営層自らIT経験やスキルが豊富で、自身がIT活用のコントロールタワーになる「CIO型ひとり情シス」の方もいます。また、最近の傾向として、中堅中小企業では「一人目」のひとり情シスを任命しています。ふたつのパターンが存在します。「ジュニアひとり情シス」は、文字通り、まだ経験が浅く スキルや経験を積んでいる方です。社内の別部署にいた方を突然に異動させて、ひとり情シスに任命します。成長して活躍することも多いですが、予期せぬ情シス職への異動に戸惑う方もいます。もうひとつのパターンは、昨今多い管理部門の方が兼任する「兼任型ひとり情シス」です。ITの経験やスキルは浅いですが、その反面、社内への通達や徹底など仕事柄で得意な面があります。最近では、セキュリティ対策で社員の意識を高める活動が重要です。ベテランユーザー層を指導しにくい若手の情シス担当者よりも、ルールを徹底させることができたりします。しかし、そのタイプも長所を持つ反面、短所になることもありますので注意は必要で、タイプにより選択される製品・ソリューションは異なります。

セカンドオピニオンが必要な方へ

評価レポートは、環境パラメータやひとり情シスのタイプを考慮し作成します。選択に適したひとり情シスタイプや抱えている課題など確認できます。しかし、最終の意思決定において第三者の意見を確認したいという要望もあるかと思います。特にひとり情シスは相談先が無いとの悩みも多いです。自身で第一の意思(ファーストオピニオン)として考えることが重要ですが、どうしても現役のひとり情シスの第二の意見(セカンドオピニオン)が欲しい方は、ひとり情シス協会の技術委員のメンバーよりアドバイスします。

ひとり情シスに正しい選択を

デジタル化が広がる中堅中小企業では、これからもIT経験の浅いひとり情シスが増加していくと思われます。ひとり情シス協会の試算では約50万人とも想定されています。デジタル化で競争力を養う中堅中小企業には絶対不可欠な存在ですし、現在の日本ではデジタル人材が渇望されているので、将来ひとり情シスから巣立ってIT業界の人口拡大につながる可能性もありますので、とても大切に成長して欲しいです。ひとり情シスの環境に合わせ、より良く安心できる製品やソリューションを選択して、ITの素晴らしさや面白さを実感し、IT関連業務で生涯活躍して欲しいと考えています。

ひとり情シスに是非活用してもらいたいと考えている製品・ソリューションベンダーの皆様は是非ご検討ください。適したひとり情シスのタイプが明確になることや、製品やソリューションの訴求ポイント、ひとり情シス協会の技術委員の評価が市場調査にもなりますので、今後の製品計画などに考慮できると考えています。そして何より、ひとり情シスに適した良い選択がされることと思います。ひとり情シス協会にも経験の浅いひとり情シスから相談されることも多いですが、評価レポートを作成した製品・ソリューションをご紹介していきます。