ひとり情シスの実態数

清水が著した『ひとり情シス』(東洋経済新報社)の中で、従業員100名から300名の企業のうち、情報システム部門の人員が「1人以下」である割合が38%にのぼると記述されています。2017年のこの発表はセンセーショナルなものとして、多くのメディアが報道しました。

中小企業基本法によると、従業員が100名を超える企業は、卸売業・サービス業・小売業では大企業に分類されます。また、製造業・建設業・運輸業・その他の業種では、規模の大きな中小企業に分類されます。いずれも確固たる組織を持つ企業です。

しかしながら、情報システム要員が一人だけの状態を指す「一人+情報システム部」を意味する『ひとり情シス』や、情報システム部門に正式に所属しておらず、本来の業務を抱えながら情シス業務を兼務する「兼任情シス」、さらには専任担当者が存在しない「ゼロ情シス」の企業が、予想以上に多いことが判明したのです。

「ひとり情シス」(清水 博著、東洋経済新報社)からアンケート結果の部分を抜粋

「ひとり情シス」の方々の特徴

清水は、2017年までに1000人以上のひとり情シスの方々にお会いしてきました。日本全国津々浦々を回るのに、数年を要しました。一般的に、見ず知らずの人に「私はひとり情シスです」と打ち明けることはありません。そのため、「ひとり情シス」の方々と直接お話しすること自体、容易ではありません

「ひとり情シス」という状態をリスクと捉えている会社は少なくありません。そのため、担当者自身が「ひとり情シス」を名乗り、情報交換などを目的にコミュニティ活動へ参加することも容易ではありません。

一方、同じ「ひとり情シス」であっても、スタートアップ企業やテック系企業、SaaS系・Web系・ソフトウェア開発・システムインテグレーションといったIT系企業に勤務している方々は、やや異なる状況にあります。近年、こうしたITに先進的な企業における情シス業務は「コーポレートIT」と呼ばれています。これらの企業では、社員のITリテラシーが高いことに加え、継続運用が必要なレガシーシステムを抱えていないため、新しいインフラを前提とした環境を活用できる点でも異なります。

「コーポレートIT」の方々は、コミュニティ活動への参加が会社から奨励されていることもあり、ライトニングトーク大会などの場で優れた技術的成果を発表されています。コミュニティ活動の基盤となる情報交換を積極的に行える環境を持っている方々です。

しかし、私がお会いした多くの「ひとり情シス」は、非IT企業に属しています。ITについて日々学んでいる方も多く、製造業などの伝統的な産業では、社内情報を社外に発信したり、SNSで発信したりすることが制限されている場合も少なくありません。そのような事情から、コミュニティ活動への参加にも消極的になりがちです。記事を書く際、こうした方々に果たして届くだろうかと、いつも考えさせられます。ワーキンググループの活動を通じても、この方々を支援していきたいと思います。