生成AIがとても騒がれていますが、それと同時にITベンダーから「中小企業で生成AIが失敗する理由」という記事が多く出ています。しかし、読んでみると生成AIに偏らず、何十年も前からの一般的な情報システム導入の課題と同じではと感じています。特に生成AIは、今までのITプロジェクトに比較して珍しく、経営層が前のめりになるので、さらに厄介です。

今から13年前の2013年7月に発行された栗山敏氏著の『情報システムを成功に導く経営者の支援行動 - 失敗する情報システム構築に共通する社長の行動』を読み返してみました。プロジェクトに暗雲が立ち込めてきた時には、現代でも社長(経営陣)の行動や態度として、以下の要素があるように感じました。


1. プロジェクトに対する無理解と無関心
失敗事例の最大の共通点は、社長がプロジェクトに対して「無理解で無関心な態度」をとっており、プロジェクトを成功に導くためのリーダーシップが総じて観察されないことです

2. 自らの言葉(肉声)で戦略目的を語らない
社長が自らの肉声で、プロジェクトの戦略目的や「なぜその業務改革が必要なのか」といった経営的意義を現場のステークホルダーに語っていません。このことが、プロジェクト初期に発生しがちなユーザー部門からの過剰な要望(要件の膨張問題)に対して、歯止めを失わせる原因となっています。

3. トラブル時の認識不足と支援の不作為
プロジェクトの実務に関する知見を持っておらず、困難な状況に陥っても「経営陣として対処が必要である」という認識すら持つことができない傾向があります。そのため、現場がリソース不足や能力不足で混乱していても、人員の追加や社外パートナーの確保といった、タイムリーで適切な支援行動(意思決定)を行うことができません。

4. 不確実な事態への不適切な対応
情報システム構築には予期せぬ事態(不確実性)がつきものですが、失敗するケースの経営陣は、状況の変化に合わせて柔軟に目標を修正するのではなく、当初の目標に固執してプロジェクトチームを一方的に叱責し事態を悪化させることがあります。また、要件の膨張などに直面した際に、プロジェクトを一旦凍結して別の担当者やパートナーに事実上「丸投げ」してしまい、十分な成果を得られないまま終わるケースも見られます。

総じて、失敗するプロジェクトの社長は、情報システム構築を「自らの経営課題(内部の責任)」として捉えて積極的に介入・支援するのではなく、システム部門やベンダーに任せきりの「外部への委任(丸投げ)」のような姿勢をとってしまい、結果的に致命的な支援不足を引き起こしていると言えます。

2026年3月13日